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治療費打ち切りを通知された場合の対応方法

交通事故後、通院してから数ヶ月後に、相手方の保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切りさせてほしい」など、治療費の支払いを打ち切りたいとの通知がなされることがあります。

これは、保険会社が医療機関に対して直接治療費を支払う対応(一括対応)を停止することを意味しています。

このような対応をなされたからといって、通院をやめてしまうと思わぬ損害を被る可能性があります。

これは、通院をやめてしまった結果、その時点で症状固定(「症状が安定し、医学上一般的な治療をおこなっても、その医療効果が期待できなくなったとき」を意味します)に至ったとみなされる可能性があるためです。

症状固定とされた場合、下図のとおり、治療費だけでなく、休業損害・慰謝料についても症状固定日を基準として計算がなされます。

そのため、「本来ならさらに治療しなければならないのに、早期に症状固定としてしまった場合」には、本来得られるはずの休業損害・慰謝料を得られないという損害を被ることになるのです。

症状固定について

さらに、後遺症の認定においても、治療が短期間であることを理由として、後遺症認定がなされる上でマイナスの要素となるおそれさえもあります。

その結果、仮に、本来認定されるはずの後遺症が認定されないことになれば、後遺症慰謝料のみでも少なくとも100万円が、逸失利益を含めるとさらに多くの金額を失うことになります。

そのため、治療費の打ち切りがなされたとしても、すぐに通院を止めるべきではなく、まずは通院中の医療機関にて診断を受け、今後の対応を検討すべきであるといえます。


医療機関からも症状固定が打診された場合

通院中の医療機関からも症状固定が打診され、自分自身でも治療による改善がみられないと感じられている場合には、通院を継続しても回復が見込まれないばかりか、支払った治療費についても請求が困難になるため、通院を継続するメリットがないといえます。

そのため、この場合には、症状固定となったものとして、後遺症認定手続きへ移るべきであるといえます。

ただし、現在の担当医師と十分なコミュニケーションがとれていないような場合には、別の病院においてセカンドオピニオンを受けることも考えられます。

医療機関から「まだ通院した方がいい」・「症状固定とはいえない」と言われた場合

医療機関から、「まだ症状固定に至ったとは言えない」との診断がなされた場合には、治療によってさらに改善が見込まれるため、保険会社による打ち切りの提案があってもなお、治療を継続すべきであるといえます。

そこで、まずは保険会社に対して、治療費の支払いを継続するよう交渉することとなります。

もっとも、保険会社による治療費の内払いは、あくまで保険会社によるサービスに過ぎないため、相手方の保険会社は任意にこの内払いを止めることができます。

ですので、保険会社が治療費の支払い継続に同意しないとしても、自費による治療継続を検討されることをおすすめいたします(この場合には、支払う医療費を抑えるため、健康保険を利用することも考えられます)。

実際に、当事務所に依頼された方においても、保険会社から治療費の打ち切りを伝えられたものの、未だ症状固定に至っていないと思われたため、自費での受診をお勧めし、十分に通院治療を行ってもらった後、後遺症の認定を得られた方が少なからずいらっしゃいます。

そのため、このような場合には、症状固定に至ったと考えられるまで、通院を継続することをおすすめいたします